なぜ市場分析をしないと失敗するのか?会社員・起業家に必須の5つのフレームワーク

おはようございます。キャリアに悩む30代タカヒデです。
本日は、市場分析における、会社員・起業家必須の5つのフレームワークを紹介します。
- 自社のサービスや新規事業を分析したい
- 日々業務に追われ時間がとれない
- 物事の課題の本質を見つけることが苦手だ
はじめに
「新サービスを提供したい…」
そんな時に使う「市場分析」は企業だけのものと思われがちですが、私たち個人のキャリア選択や働き方においても必要不可欠なものです。
- 会社員としての安定を求める
- 起業家として挑戦する
どちらにしても、背景にある市場の動きや競合の状況を理解しなければ正しい判断をすることはできません。
本記事では、そんな市場分析の必要性や、分析を怠った場合のリスク、さらに実際に使えるフレームワークを紹介します。
「自分も今日から市場を数字や事実で確認してみよう」
そう思える実践的な知識をお届けします。
8割の企業が市場調査をしている実情
HANOVER RESEARCHの調査によると約8割の企業が市場調査を定期的に実施しているといわれています。
■市場調査実施率

背景には、市場の変化が激しく、顧客ニーズが急速に移り変わる時代において、勘や経験だけでは意思決定の精度を担保できないという課題があります。
- 消費者アンケート
- 顧客インタビュー
- 競合サービスの比較
このような調査や分析を行うことで、需要を数値化します。
これにより失敗リスクを減らし、広告投資を効率的に回収できるのです。
そのためにも市場分析は規模や立場に関わらず、各社で取り組まれています。
市場分析をしないと何が起こるか?

では、市場分析をしなければ具体的にどのようなことが起こってしまうのでしょうか?
もちろん市場分析をすべきということは分かりつつも、具体的なリスクまで把握していない方は多いと思います。
ここではそんな代表的なリスクを4つ取り上げて紹介します。
リスク①:時間とコストの浪費
市場の実態を知らずに動けば、努力や投資が無駄になる可能性が高まります。
起業であっても、個人であっても、将来性の低いものに時間やコストをかけても、望むべき結果には繋がりません。
- 成長を見込むことができない業界
- 将来性の低い資格取得
- 求められていない商品やサービスの開発
このようなものに投資をしても、時間・労力・資金いづれも無駄に終わってしまいます。
そんなリスクを抑えるべく、市場分析は、どの分野に労力を投じるべきかを見極め、リソースを無駄にしないための必須条件です。
リスク②:競合との差別化ができない
競合の存在を調べなければ、自分の強みを見つけることができません。
サービスを開発しても「他社で既にほぼ同じサービスが展開されている」場合、差別化できず、顧客に選ばれないリスクが高まります。
市場でどのようなサービスが展開されているか
市場ではどのようなサービスが求められているか
これらを理解しないことには、他社サービスの中に埋もれてしまいます。
差別化の切り口を見つけるためには、必ず競合を俯瞰して比較する視点が必要なのです。
リスク③:市場の変化に取り残される
市場は常に動いています。
AIや自動化の進展により、かつて需要の高かった仕事が縮小しているのは典型的な例です。
顧客のライフスタイルや消費行動の変化を無視すると、需要が急減して事業が破綻するリスクがあります。
DXやデジタル化に伴う市場の変化はもちろん、コロナ禍のような想定外の市場の変化にも敏感に反応することが重要です。
市場の変化を観察しなければ、自分の立場は一瞬で不利になることを理解しておきましょう。
リスク④:失敗の原因を特定できない
市場分析をしていないと、なぜ失敗したのかを検証できません。
- なぜ売れなかったのか?
- 顧客ニーズが不足していたのか?
- 価格設定の問題なのか?
- プロモーション不足なのか?
原因を切り分けられず、結果、改善ができず再挑戦の成功率も下がってしまいます。
市場分析は現状を数値や事実で可視化するための行為であり、これを怠ると学習の機会を失ってしまうのです。
市場分析に効果的なフレームワーク
市場分析を行うには、フレームワークを活用すること効果的です。
間違った分析ではなく、効果を最大限発揮する分析につなげることができます。
ただし、知識として知っているだけでは不十分で、「どの状況でどのフレームを使うか」を理解し、実際の意思決定に結びつけることが重要です。
ここでは代表的な5つのフレームワークを紹介します。
フレームワーク①:SWOT分析
SWOT分析は「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つに整理するフレームワークです。
自社を取り巻く周辺環境を分析し、強みや弱みを把握します。
そこから、「好影響+悪影響」・「内部環境+外部環境」で振り分け、欠けている部分を補うことでさらに分析の精度を上げることができます。
このSWOT分析を行うことで、内部と外部、プラストとマイナスの両方に目を向けることができることがポイントです。
- 分析対象の決定
…自社全体もしくは単体事業などSWOT分析を行う対象を決める - 情報を書き起こす
…「強み」「弱み」「機会」「脅威」に当てはまる要素を書き出す - 整理する
…書き出した内容を「好影響」「悪影響」・「内部環境」「外部環境」で振り分け、欠けている部分を補う - 内容を磨く
…他者からのフィードバックにより内容を磨く
実施例
■個人経営の居酒屋

フレームワーク②:PEST分析
PEST分析は「政治(Political)」「経済(Economic)」「社会(Social)」「技術(Technological)」というマクロ環境を把握するフレームワークです。
少子高齢化やAIの普及といった社会・技術的変化が、自分の業務にどう影響するかを理解する助けになります。
ポイントは世の中のトレンドや、現代で押さえておくべきキーワードを把握することです。
外部環境を俯瞰することで、未来のリスクとチャンスを事前に察知することができます。
- 各要素に対し影響のある情報を書きだす
…「政治」「経済」「社会」「技術」それぞれの要素に対し、影響のある情報を書き出す - 情報を整理する
…書き出した情報に対し抜け漏れや不足している情報が無いかチェックする - 自社に重要な情報を評価する
…情報の中から、自社にとって重要な情報をピックアップし評価する
実施例
■キャリア支援サービス

フレームワーク③:ファイブフォース分析
ファイブフォース分析は、業界の競争要因を「業界内の競争」「新規参入の脅威」「代替品の存在」「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」の5つから評価するものです。
「業界の中でどのような競争が行われているか」を把握することができます。
5つの要因が強ければ、競争も激しく、参入のハードルは高まります。
- 自社が参入する余地はあるか?
- 自社の業界はどのような競争が起きているか?
このような情報を分析して把握することができるのです。
- 4つの要素から情報を洗い出す
…「新規参入の脅威」「代替品の存在」「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」の4つの要素から、競争要因を洗い出す - 「業界内の競争」状況を検討する
…4つの要素から、「業界内の競争」状況がどのようになっているのか検討する - 自社の状況を踏まえて検討する
…5つの要素と自社の属する状況を含めてどうすべきかを検討する
実施例
■動画配信サービス

フレームワーク④:ペルソナ
ペルソナは自社サービスを利用する典型的な顧客像を具体的に描き、意思決定の基準を明確にする手法です。
単なる「年齢・性別」ではなく、「どんな悩みを抱え、何を期待するか」を詳細に描くことで、実際の施策が顧客の心に響くようになります。
ペルソナを設定することで、
- アプローチする顧客のことを詳しく知ることができる
- メンバー間のイメージのずれの解消できる
ということが大きなメリットです。
- ペルソナの抽出
…ターゲットとする顧客を抽出し、特定の1人を思い浮かペルソナを設定する - 調査の実施
…本人及び周辺人物へのインタビューや観察により情報を収集する(名前・性別・年齢・家族構成・移住地・職業・収入・趣味・休日の過ごし方・悩み…等) - 情報の整理
…ペルソナ像を書き出し整理し、仮説検証を繰り返す中で修正を加えていく
実施例
■キャリアブログのペルソナ設定

フレームワーク⑤:VRIO分析
VRIO分析は、自社の資源や能力を「価値(Value)」「希少性(Rarity)」「模倣困難性(Inimitability)」「組織(Organization)」の観点で評価するものです。
自社の持つ経営資源、具体的には、「人材」「開発力」「ブランド力」「組織風土」など、ざまざまな資源が当てはまります。
それぞれの資源に対し、VRIOの観点で評価することで、自社の持っている資源の競争優位性を知ることができるのです。
- 自社の経験やスキルは他者に真似されにくいか
- この強みが一時的なものか持続的なものか
などを図ることができます。
- 資源の設定
…分析対象とする自社の資源や能力を記載 - 資源の評価
…記載した資源に対し、「価値(Value)」「希少性(Rarity)」「模倣困難性(Inimitability)」「組織(Organization)」の観点で評価 - 対処の方向性を検討
…評価結果を踏まえ、今後どのように強化していくべきか対処の方向性を考える
実施例
■キャリア支援サービス

実際に使うならこの組み合わせ
今回紹介した、市場分析のフレームワークは、それぞれ単独でも役立ちますが、実際の意思決定では組み合わせて使うことで更なる真価を発揮します。
ここではより効果的な組み合わせを紹介します。
実践で使えるものなのでぜひ参考にしてください。
①:PEST分析×SWOT分析
マクロ環境を踏まえた自社の周辺環境を分析することでより効果的な分析にすることができます。
まずPEST分析で外部環境を広く捉えます。
政治・規制面で法改正や補助金制度の有無、経済では景気や消費者の購買力、社会ではライフスタイルの変化、技術では新技術や代替サービスの登場を整理します。
そのうえで、SWOT分析に落とし込みます。
PEST分析で得られたマクロ環境の変化をSWOT分析にリンクさせることで、単なる内部分析にとどまらず「今どこに注力すべきか」「逆風に備えて何をやめるべきか」を具体化できます。
この流れをチームで共有すれば、施策の優先順位が明確になり、戦略の納得感も高まります。
②:ファイブフォース分析×VRIO分析
市場構造の厳しさを測りつつ、自社が持つ強みがどこで生きるかを確認する組み合わせです。
ファイブフォース分析では、自社の外にある市場の状況を可視化できます。
一方、VRIO分析では自社の資源や能力を「価値・希少性・模倣困難性・組織体制」で評価し、本当に勝てる領域を見極めます。
つまり、外部環境の厳しさを冷静に捉えつつ、持続的に活かせる自社リソースを軸に戦略を描くのができるのです。
それにより、自社の強みを市場全体を俯瞰した上で確認できることがポイントです。
その他の効果的なフレームワークを紹介
図で思考を整理する方法

問題・課題を見つけるフレームワーク

ビジネスアイデアを見つけるフレームワーク

ビジネスアイデアを整理し、収束させるフレームワーク

事業戦略立案に効果的なフレームワーク

まとめ
本日は、市場分析における、会社員・起業家必須の5つのフレームワークを紹介しました。
- フレームワーク①:SWOT分析
- フレームワーク②:PEST分析
- フレームワーク③:ファイブフォース分析
- フレームワーク④:ペルソナ
- フレームワーク⑤:VRIO分析
市場分析は、「未来を見据えた意思決定」を行うための必須条件です。
大切なのは「分析すること自体」ではなく、その結果を使って行動を変えることです。
まずは、自社業務を一つのフレームワークで整理してみることから始めましょう。
そして他のフレームワークも活用しながら、より自分が使いやすくなるようにアレンジして使っていきましょう。
以上、タカヒデでした。